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コロナ・学校閉鎖のジレンマ・

正月休み明け、大人は職に、子どもは学校に戻るといういつものパターンで新年が始動した。ただ、相変わらずコロナウィルスは健在。年末年始休暇中から「学校を閉鎖すべきでは?」との声が挙がり続けている。

実際、フランス公衆衛生庁(Santé publique France)の直近の統計によれば、1月第一週目のコロナ感染率は10歳未満で10%、10~19歳で8.5%。その10日前 、その数値は3%未満であった。

それでも、政府や世論、科学評議会の学者の見解さえも学校の閉鎖には極めて消極的。なぜか?

生徒のドロップアウト防止、子どもの精神衛生のため… 政府が前面に出すこれらの理由は最もだし、重要であることは間違いない。それでも、ドイツや英国を始め欧州近隣諸国が次々と学校を閉鎖する中、フランスは頑なに学校閉鎖を拒む姿勢を崩さない

声高に自慢はしていないけれど、フランスの学校には、教育の場であると同時に託児所の要素がとても強い。この国では共働きは当たり前。英米やドイツと違い専業主婦というステータスは特殊。フランス通念上の「専業主婦」とは、リッチなブルジョワの妻か、亭主関白に当たってしまった自主性のない哀れな女のどちらかでしかあり得ない。

フランスに住む日本の女性で「お仕事は?」との悪気の無い問いに言葉を詰まらせた経験のある者は多いと思う。「お仕事は?」と訳される定句 « Que faites-vous dans la vie ? » という表現も、正しくは「あなたは生活上何をなさっているの?」と聞いている。仏人的には あって当然の、人生/生活の糧となるoccupation(従事している事柄)は何か?と聞いているのだ。この場面で「専業主婦(femme au foyer)」「無職」と返事した時の、何とも言えない気まずさを経験した同胞女性も多いであろう。

そう、フランスは、日本のように「主婦です♪」とサラっと流せない国。存在意義(la raison d’être)を常に表明しながら生きていく国

核家族が基本で、通常の家庭で日中家を守る者はなく、中流家庭においても学校のお迎えはベビーシッター。赤ちゃんの時から、両親が帰るまで託児を外注するという構図がごく一般的なのである。

その学校託児所が、第1次ロックダウン(2020年3~4月)の際には閉鎖されたのだ。その時のインパクトを理解せずして現状は語れない。混沌たるオンライン授業に振り回される子どもと親たち、テレワークで在宅していても部屋数の足りないアパルトマンでママもパパもパソコンで仕事をしつつ子の勉強をフォロー …。子持ちの家庭は多かれ少なかれ物理的・精神的な困難に直面した。

第一次ロックダウン時の学校閉鎖は国民的トラウマとなっていると言っても過言ではないだろう。

それゆえ、大臣であろうが医師であろうがジャーナリストであろうが、フランスで「親」をしている者は誰もが、意見を聞かれた場合に「いや~、学校閉鎖は極力避けるべき!」と口を揃えて答えているのだと思われてならない。

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