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心を覚ます環境ドキュメンタリー LEGACY〈後半〉

〈前半〉の続き

コロナその他で精気の足りない日々を送る中、番組冒頭の「エネルギー」というマジック・ワードに揺り起こされた形で、ドキュメンタリー「LEGACY」の観賞を続けた。

地球上の活動は、生物・無生物問わずエネルギーの伝達により営まれているという。中学生息子の物理のエネルギー変換の課題がふと脳裏をよぎる:エネルギーは消えることなく、移り変わる

地球のエネルギーを制御し操ることによって人類は生き延びてきた。そして今その人類は、他の生物を道連れにした滅亡の瀬戸際にいるのだという。この「科学的事実」を明快に伝えるため、ヤン・アルテュス・ベルトランはこのドキュメンタリーをつくった。そして、成功した、と言わざるを得ない。

これまで捉えどころのなかった環境問題があまりにも切実に迫る。これまで何千年ものあいだ人類の進化を支えてきた農業や牧畜の加速度的な発達が人類を自滅の道へと追い込んでいる。移動手段の進歩は時間の概念を覆した… この「事実」を示すため、監督の言う「科学的根拠」の数々が、強烈な映像と語りにより具現化され、直感的な理解を促している。

恥ずかしながら「環境保護を謳う者 = 世間離れしたおめでたい集団」と決めつけがちな短絡思考が打ち砕かれる。

繰り返し出てくる 桁違い (la démesure) の言葉。地球の存在を1日(24時間)に例えるなら、生命が現れたのが午前6時、植物が現れたのが22時。人類登場は23時58分26秒。石炭と石油の開発により地球の営みの均衡が崩れ、壊滅へと向い始めたのが150年前。150年 = 5マイクロ秒、まばたきにも及ばない一瞬に過ぎない。下手なドラマ・シリーズの何倍もスリリングな緊迫感。

地球が直面している2大危機気候変動(le dérèglement climatique)生物多様性(la biodiversité)という概念がこれほど鮮明に映ったことはない。そして、赤裸々な先進国のエゴ

これまで聞きなれた生半可な数々のスローガン「地球を救おう!」「資源は大切に!」などのメッセージは すべて吹っ飛ぶほどの勢い。

つまるところ、ヤン・アルテュス・ベルトランのメッセージはこうだ:すぐに目を覚まして行動しないと人類は確実に滅びる、我が子にこんな置き土産をしていいのか? → 僕は嫌だ!

(もはや手遅れかもしれない… )

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