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反省なし、マクロン大統領の独走?Macron hors sol ?

ジュピター Jupiter。惑星ではなくギリシャ神話の「ゼウス」に当たるローマ神話の神。就任直後からマクロン大統領に付けられたあだ名だ。

国民目線ではなく、一段上から「統治」されているようなフランス人の感覚を表したものだが、これまでは当然ながら反マクロン派が好んで使用していた。

それが昨夜3/25、大統領が行ったスピーチを堺に、親マクロン派からもジュピターはもとより君主 Monarque 、皇帝 Empereur感染学者1世 などなど ニックネームも様々に、批判のコメントが次々とメディアやSNSに寄せられたのだ。

22時30分、夜遅く、EU理事会のウェブ会合を終えたマクロン大統領は演台に立ちこう述べた

我々は1月末にロックダウンを行わない判断をして正解だった。

反省すべき点は皆無、後悔もなければ失敗も一切ない。

« Je peux vous affirmer que je n’ai aucun mea culpa à faire, aucun remords, aucun constat d’échec »

ほどなくツイッターでは #Macron22h30 のハッシュタグのもとに堰を切ったかのように不満の声が次々と寄せられた。

その背景をみてみよう。

先週末より首都パリを含む16県において、フランスで第3回目となる「ロックダウン措置」が実施されている。現在フランスでは英変異ウィルスが猛威を奮っており、病院はますますコロナ患者で溢れている。この傾向は2週間ほど前から顕著で、医療従事者からは日々悲痛の声が上がっていた。

この事態に政府は、これまで頑なに拒否していた「ロックダウン」にようやく踏み切った。ところが、蓋を開ければロックダウンとは名ばかり、遠距離の移動に多少影響はあるものの他は例外だらけで「ロックダウン」前とはほぼ変化のない生活が続いているのが現状。政府メンバーもConfinement (封鎖、ロックダウン) の単語を使用するのを拒否して「(コロナ) ブレーキ措置」などと呼んでいる。

ワクチン接種プログラムも遅々として進まない中、フランス国民の間には不安感は募るばかり。アンケートによれば、国民の73%がこのロックダウンは効果がないと回答している。

さらに、明るみに出てきた学校におけるコロナ感染問題。フランスで学校閉鎖となったのは過去1回のみ。学校は閉めないという方針がフランス政府の誇りとなっている。多くの共働き家庭にとっては学校が「託児所」を兼ねている要素もあることから「何が何でも学校開校」路線はこれまで幅広いコンセンサスが得ていた。

ところが、ここへ来て生徒や教員のコロナ感染急増による学級閉鎖や教職員の欠員が無視できないレベルに至り、マクロン大統領もようやく、ワクチンの優先接種対象に教職員も加えると発表した(しかし、早くて4月後半からということで教員組合からは大ブーイング)。

また、学級閉鎖や休校が急増中のパリ首都圏では、地域圏議長のペクレス氏が、本来4月半ばに始まる学校の春休みを2週間前倒しするよう政府に提案。昨晩3/25のベラン保健大臣の記者会見で学校に関する何らかの対策が発表されると期待されていた。

ところが、この記者会見では学校問題は先送りされ、中途半端ロックダウン組に来週から新たに3県加わると発表されたのみ。この時点で「うわぁ~、政府は緊迫状況をきちんと把握しているのか?」と疑問に感じた視聴者も多かったはず。

上記マクロン大統領のスピーチはその4時間後に行われた。1月末科学者たちは第3波を予測し、3月に起きるであろう英変異ウィルスによる感染状況の悪化を警告。巷では「ロックダウンは必須」と囁かれ、国民にも覚悟ができていた。しかし、その時、マクロン大統領は独断でロックダウンに踏み切らず、与党メンバーも含め皆が肩透かしを食った。

ロックダウンを決めれば当然国民の不満が募る。もう少し時間稼ぎができると考えたのだろう。

そして今回、当時のロックダウン拒否の決断を開き直るかのような「僕は間違っていない」発言に対し、辛口の反応が次々と寄せられたというわけだ。ちょうど前日、ドイツのメルケル首相が、復活祭に課そうとした厳しい措置を反省して国民に謝罪した姿があった。そのため、両者のコントラストが一層際立った形ともなった。

1年後に大統領選を控えたフランス、コロナ禍に関する決断にもますます政治的思惑が絡んできたようだ。マクロン大統領、どこまで危ない橋を渡り続けられるだろうか…

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