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あゝ、テレワーク!

テレワーク。この言葉を好意的に受ける人もいれば拒絶反応を示す人もいるであろう。コロナ以前は地味なコンセプトであったこのテレワーク、この一年で意見の分かれるセンシティブなテーマに急成長した。

テレワークの訪れはあまりにも突然であった。フランスでは昨年の3月半ば。第1次ロックダウンと同時に否応なく課されたケースが大半。

心の準備もないまま始動したテレワーク、就学児童のいる者にとっては とりわけ悩ましかったに違いない。子どもも配偶者も部屋数の限られた住居で居場所を探し、パソコンを取り合い、無計画なオンライン授業に閉口し… 苛立ちと呆気とストレスの混じった地獄を味わったテレワーカーも多いはず。  

それでも、一時的な緊急措置だと自分に言い聞かせて辛抱し、第一波を乗りきったはずだったのに…  蓋を開ければ一年近く経っても相変わらず自宅のノートパソコンに向かい、今では手慣れた動作でウェブ会議にコネクトし、諦めの境地で音声を聞き流しているのでは?せめて子どもが学校にいてくれることを慰めに…

このテレワーク、人々の仕事観にどのような影響を与えているのだろうか

先週発表された世論調査 (Kantar) によると、管理職の8割がコロナ禍により今後の働き方が大きく変わるだろうと回答している。テレワークに関しては、管理職は総じて好意的に受け入れているものの、部下をまとめる者、上から指示を受ける者双方の立場においてテレワークの限界を訴える声がここ数ヶ月で増えてきているという。

一方管理職の求人を援護する組織 Apec の今週の調査では、管理職の36%がこの先1年以内に転職や移動を希望している。35歳未満に限ればこの割合は50%で、前回9月の調査に比べ7ポイントも増えている。特に女性と若者の間で心機一転を求める割合が高い。

より充実した職場環境を求める声が圧倒的で、そのために住む場所を変えたいと思う管理職は全体の3分の1、パリ首都圏では4割にも上る。

テレワークによる気鬱を防ぐため、政府は先月、100%テレワーク中の者に対し、必要に応じて週に1日は職場に足を運ぶことを容認することとした。

とはいえ、2月に入ってもコロナ感染は高止まりしたままのフランス。先週、必至と思われていたロックダウンは見送られたものの、ボルヌ労働相は再びテレワークに触れ、国民の気の緩みに活を入れた。そう、ロックダウンをしないなら、他を頑張るほかない。

ボルヌ労働相いわく、1月の100%テレワークの割合は30%で、11月の45%に比べ下がっているという。テレワークできるのにしていない就業者も3分の1(250万人)いるとして「オンライン可能な場合は100%オンライン!」と発破をかけた。

それでも、「週1日は出勤可」の原則は取り消していない。フランス国民はコロナとの消耗戦に疲れ切っており、政府としては厳しすぎる措置を取れないでいる。そもそも、政府がテレワークを義務付けするのは法的に可能なのか?という問題もあがっており、現在のところ 要請はできるが義務付けは難しい との見解が勝っているようだ。

また、せっかくテレワークに勤しんでも、接続料金などの掛かる経費は雇用主がきちんと払ってくれるのか?この点についても、法的には明確性に欠ける (flou juridique)。以前は雇用主がテレワークに掛かる経費をすべて負担する旨、労働法典に記載されていたとのことだが、 2017年にマクロン大統領のオルドナンス(政令)によりこの項目が削除されてしまったという…

一年後、コロナ禍が収まっていたとして、テレワークは死語となっているのだろうか…

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